シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPシンガポールで設立された会社の株主総会に関する規定について簡単に...

会計・税務相談

2012年5月12日

Q.シンガポールで設立された会社の株主総会に関する規定について簡単に教えてください。

シンガポールの株主総会に関する規定について

シンガポールで設立された会社は、会社法により、暦年に必ず1回株主総会を開催することとされており、これを年次株主総会と称します。その他に必要に応じて開催される株主総会は、臨時株主総会と称されます。

 

年次株主総会は、毎暦年に1回かつ前回の年次株主総会開催日から15ヵ月以内に開催しなければなりません。なお、会社設立後に初めて開催される第1回年次株主総会については、会社の設立日から18ヵ月以内に開催することとされており、必ずしも会社が設立された暦年および翌暦年に株主総会を開催しなくてもよいことになっています。

 

年次株主総会では、会社の決算書および取締役報告書を株主に提出して、株主の承認を得ます。公開会社の場合には決算日から4ヵ月以内、私会社の場合には決算日から6ヵ月以内に年次株主総会を開催することが定められています。シンガポールでは12月に決算を迎える会社が多く、例年4月下旬には、多くの上場会社の株主総会が市内各所で開催されます。

 

会社の取締役は、年次株主総会の14日前までに監査済財務報告書を株主に送付しなければなりません。監査人の任期は、毎年の年次株主総会までとされており、年次株主総会では決算書の承認と併せて監査人選任の決議がなされます。この他に、年次株主総会では、会社によって期末配当の宣言や取締役報酬の承認などの決議が併せてなされる場合もあります。

 

株主総会を開催する場合には、通常14日以上の通知期間をおいて総会の日時および場所を記載した招集通知を株主に送付しなければなりません。ただし、公開会社が後述の特別決議を提案する場合には、原則として21日以上の通知期間が必要になります。また、決議によっては28日以上の通知期間をおく特別通知が要求されるものがあり、例として監査人の解任決議が挙げられます。これは、会社の取締役が監査人の解任を提案した場合に、監査人が申し立てを行いかつ株主がそれを吟味する時間を十分に与えるためです。

 

株主総会開催のための定足数は、定款に特段の定めがない場合、2名の株主とされています。株主総会に出席できない株主は、委任状により代理人を選任することができます。また、法人株主の場合には、取締役決議により株主総会に出席する代表者を選任し、会社の社印を押した証明書を発行して、代表者の権限を証明する必要があります。

 

株主総会の決議には、普通決議と特別決議があります。定款に特段の定めがない場合、普通決議は出席株主が有する議決権の過半数の賛成により、また、特別決議は出席株主が有する議決権の3/4以上の賛成により可決されます。会社法により株主総会における特別決議が要求されるのは会社の根幹に関わる事項であり、例として会社名の変更、定款の変更、減資、合併、清算などが挙げられます。

 

特別決議またはいずれかの種類の株主を拘束する決議が可決された場合には、決議書の写しを会計法人監督庁(ACRA)に登記する必要があります。

 

株主総会の開催後、会社は、1ヵ月以内に議事録を作成して議長がこれに署名の上帳簿に収録し、株主から要求があった場合に閲覧に供せられるように、その帳簿を会社の登記事務所またはシンガポール国内の事業所に保管していなければなりません。

取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.212(2012年05月21日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOPシンガポールで設立された会社の株主総会に関する規定について簡単に...