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会計・税務相談

2007年12月17日

Q.シンガポールでコンドミニアムを借りて生活していますが、最近、家賃の値上がりがあまりにも激しいので、いっそのこと投資も兼ねてコンドミニアムを買おうかと考えています。買った場合の税金等について教えてください。

シンガポールで住宅を購入する際に発生する税金について

最近の家賃の値上がりには、目に余るものがあります。企業にとってもオフィスと社宅の両方の値上げは頭の痛い問題ですし、個人で家賃を負担している方にとっては家計への影響も大きく、いっそのこと買ってしまおうかと考えるお気持ちもよくわかります。

 

シンガポールで住宅を購入する場合、以下のような税金が発生します。

 

印紙税 Stamp duty

まず、不動産の売買契約の締結には、印紙税が発生します。この印紙税は、買い手が支払います。印紙税の金額は、不動産の売買価額に基づき、以下のように計算されます。

 

最初の180,000まで

S$100につき S$1

次の180,000まで

S$100につき S$2

それを超える金額

S$100につき S$3

 

不動産を抵当にして銀行からローンを借りると、その抵当契約にも印紙税が発生します。この印紙税は、抵当権設定者、すなわちローンの借り手が支払います。印紙税の金額は、抵当権の金額S$1,000につきS$4ですが、S$500が最高限度額とされています。

 

不動産税 Property tax

次に、不動産の所有者には、毎年、不動産税が課せられます。不動産税は、IRASが査定する年次価額に基づいて算出されます。年次価額は、当該物件を賃貸した場合に得られるであろう年間賃貸料(建物部分のみ、家具・共益費等を除く)に基づいて算出されます。通常、同じような地域にある似たような物件の賃貸料を比較検討した上で査定額が決定されると言われています。年次価額は、賃貸市場の相場や建物に加えられた改良等を反映して変更されます。

 

現在、不動産税の税率は、所有者が自ら居住する不動産については年次価額の4%、それ以外の不動産については年次価額の10%です。毎年12月に、翌年分の不動産税の賦課決定通知書が所有者に送付されます。支払期限は翌月末、すなわち1月31日です。尚、所有者が自ら居住する不動産のうち、年次価額がS$10,000未満の住宅については、年次価額に応じてS$25~S$150の税額控除が適用されます。更に、2008年及び2009年の2年間に限り、全ての所有者が居住する不動産について、S$100(税額がS$100未満の場合には税額と同額)の税額控除が適用されます。

 

所得税 Income tax

購入した住宅を賃貸した場合には、賃貸収入から必要経費を控除した金額が課税所得に含められますが、賃貸せずにただ保有しているだけでも、家賃に相当する収入があるものと見なされて、上述の年次価額から必要経費を控除した正味年次価額(NAV)が課税所得に含められます。但し、所有者が自ら居住する不動産については、S$150,000までのNAVについて免税扱いとされます。ですから、家賃相場数千ドル程度の住宅を購入して自ら居住するような場合には、通常、この所得税は課せられないと考えてよいでしょう。

 

購入した住宅を最終的に手放すことになり、売却益が生じた場合、売却が資本取引であると見なされれば、売却益はキャピタルゲインということになり、非課税扱いとされます。但し、何軒もの不動産を売買していたり、短期間に売買を繰り返したりするような場合には、不動産売買を事業として行っていると見なされ、売却益について事業所得として課税される場合もあります。

取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.112(2007年12月17日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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