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会計・税務相談

2007年2月12日

Q.シンガポールでは、給与の他に様々な現物給与について課税されると聞きました。 給与以外にどのようなものが課税対象になるのか教えてください。

シンガポールで課税対象となる付加給付

シンガポールに駐在員として赴任する場合、従業員が支障なく海外勤務を遂行できるように国内勤務とは異なる種々の福利厚生規定が設けられている場合が多くあります。シンガポールの税法では、これら金銭以外の形で受け取る付加給付についても雇用所得として課税されます。

 

駐在員に関する主な付加給付とその税務上の取り扱いについて、以下に簡単に説明します。

 

社宅及び付帯家具

 

社宅として会社から提供される住宅は、会社負担の家賃(家具部分を除く)と従業員の総雇用所得の10%の何れか低い方の金額が課税所得とされます。シンガポールのコンドミニアムの家賃は高いので、通常、総雇用所得の10%が課税所得とされる場合が多いようです。家主又は会社から貸与された家具については、IRASが家具の種類別に定める料率に基づき課税所得が計算されます。

 

又、ホテルに滞在した期間については、家族を含む宿泊者についてIRASが定める月当たりの料率に基づいて現物支給額を計算し、それに従業員の基本給与の2%を合計した金額が課税所得とされます。

 

  • 車輌
    会社から貸与される車輌については、取得価額、私用目的による年間走行距離及びガソリン代会社負担の有無を考慮した所定の計算式により課税所得が計算されます。レンタカーの場合には、取得価額の代わりに会社が負担したレンタル料が考慮されます。尚、通勤にかかる走行距離は私的走行距離に含めなければなりません。又、会社又は自宅の月極駐車料や道路税を会社が負担する場合には、その実費について課税されます。
  • 帰省旅費
    従業員及びその家族が日本に一時帰省するための費用を会社が負担する場合には、本人及び配偶者については年1回、子供については年2回の帰省費用に限り会社負担額の20%のみが課税されます。これを超える回数については全額課税されます。
  • 医療費
    会社が負担する従業員及び家族の医療費の実費については非課税です。医療保険の保険料については、会社が受取人であれば非課税、従業員が受取人の場合には課税対象となります。
  • 通勤手当
    シンガポールでは、通勤にかかる費用は私的な費用と考えられており、それを会社が負担した場合には課税対象となります。業務上の交通費の払い戻しについては、もちろん非課税です。
  • 出張日当
    出張の日当として固定額が支払われる場合、その金額がIRASの定める国別の限度額以下であれば免税とされます。これを超える日当を受け取った場合には、超過額について課税されます。又、出張先での食事、交通費、洗濯代等について、固定額の日当を受け取るのではなく実費精算する場合には非課税となります。
  • 所得税
    会社が従業員の個人所得税を負担する場合には、その税額も課税所得となります。会社によっては、本人が同額の給与を日本で受け取った場合に納付すべき所得税相当額については個人負担としている場合もあり、そのような場合には、個人が負担する税額を差し引いた金額が課税所得となります。

 

上記は付加給付の一例であり、この他にも課税対象となる様々な付加給付があります。シンガポールで初めて所得申告される方は、うっかり所得の申告漏れが生じないように、一度専門家に相談し、何が課税対象になるかについて確認されるとよいでしょう。

取材協力=Price Waterhouse Coopers

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.092(2007年02月12日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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