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会計・税務相談

2005年10月3日

Q.シンガポールで翻訳の個人事業を行っています。日本の顧客からの支払いを日本の銀行口座に入金してもらう場合、その所得についてシンガポール又は日本のどちらの国で申告すればよいでしょうか。又、国によっては、顧客からの送金時に源泉徴収されることがありますが、源泉徴収税はどのような場合に徴収されるのでしょうか。

海外からの収入の申告と源泉徴収

最初の質問は、翻訳による所得についてどの国で申告すればよいかというものですが、これは、原則として、サービスがどの国で提供されたかによって判断されます。ご質問の例では、日本の顧客から翻訳業務の依頼を受け、シンガポールで翻訳を行い、その料金は質問者の日本の銀行口座に入金される、すなわち質問者は日本でその所得を受け取っています。この場合、所得を受け取ったのが日本であっても、翻訳サービスがシンガポールで提供されたのであれば、翻訳による所得の源泉地はシンガポールになります。従って、質問者の方は、翻訳の所得について、日本ではなくシンガポールで申告する必要があります。

 

2つ目の質問では、国によって顧客からの送金時に相手国で源泉徴収された経験があるとのことですが、源泉徴収税は、非居住者への所定の所得の支払いについて、その所得の支払人である居住者に対して、支払金額から一定税率の所得税を控除して税務当局に納付するように義務づけている制度です。これは、非居住者が得た所得について、居住者と同じ方法で税金を徴収することが実務上難しいため、手続きを簡素化し、確実に税金を徴収できるようにするための方法として採用されています。非居住者は、源泉徴収税をもってその国で得た所得にかかる税金を納付したと見なされ、税務申告を行う必要がなくなります。非居住者へのどのような支払いがその国における課税対象所得と見なされるかや、源泉徴収の対象となるかどうか及びその税率は、それぞれの国の税法によりますので、顧客とのやり取りにおいて、顧客が居住者である国やサービスが提供される国の税法をよく確認する必要があります。

 

尚、最初の質問にあったシンガポールでの翻訳による所得のように、シンガポールで課税される所得について、顧客からの支払時に相手国で源泉徴収された場合、相手国がシンガポールと租税条約を締結している国であれば、シンガポールでの税務申告時に、相手国で納付済の税額について、外国税額控除を申請することができます。外国税額控除の申請には、相手国で税金が徴収されたことを証明する文書が必要になりますので、源泉徴収された際に顧客から税金の納付を証明する文書をもらっておくようにしましょう。

 

発行

取材協力=Price Waterhouse Coopers

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.060(2005年10月03日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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