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海外進出「社会保険・労務管理」

2015年10月19日

Q.『現地法人で社長に!!日本の労災はどうなる!?』~海外法人の労働者数が一定以下なら適用も~

今年11月に日本の親会社よりシンガポールに社員を1名出向で派遣する予定です。その者は現社長の帰任に伴い出向先では代表取締役となる予定ですが、社員が5名ほどの現地法人ですので、業務内容は現地の社員とほぼ同じで、正直実態としては日本にいる時とかわりません。そのため、労災保険に加入させてあげたいと思っていますが、代表取締役であっても労災が適用されることはあるのでしょうか。(S社 Oさん)

労災は日本では労働者の業務上または通勤途中の負傷等に対して給付を行いますが、海外勤務者の労災については『出張』と『出向』とで区別されています。

 

『出張』に該当すれば日本国内と同様に給付が労災より受けられますが、『出向』に該当すれば、原則として一切給付を受けることはできません。そのため、出向の場合に労災を適用させるためには、あらかじめ労災の特別加入の手続きをする必要があります。

 

なお、『出張』と『出向』の区別は労働者が日本法人から指揮命令を受けているか、あるいは現地法人から指揮命令を受けているのかにより判断されます。

 

質問のように親会社で社員であった方が現地法人で代表取締役になる場合、労働者ではないので労災保険は適用されず、原則として特別加入制度に加入できません。しかし、海外出向先の労働者数が300名以下(業種により100名または50名以下)で労働者と同じ業務をする場合は、代表取締役であっても例外的に特別加入制度に加入できます。したがって、質問のケースでは特別加入制度の手続きをすれば、労災は適用されます。ただし、特別加入制度であるため、労災の対象となるのはあくまでも労働者と同様に業務を行っていた時の事故、病気、通勤災害に限られるので注意が必要です。

 

次回は『AsiaX』2015年11月16日号(Vol.292)に掲載。

社労士大槻オフィスシンガポール

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文=社労士大槻オフィスシンガポール

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.290(2015年10月19日発行)」に掲載されたものです。

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