シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP〈第8回〉 個人のスキルをお金に変える②~セレンディピティで夢を...

ビジネス4賢者が送る、成功への道しるべ

2015年9月21日

〈第8回〉 個人のスキルをお金に変える②~セレンディピティで夢を叶える~

1.セレンディピティとは?

思いがけない幸運の発見! とでも言いましょうか。当初考えていた事とは違う、もっと素晴らしい結果を見つけることを指します。例えば、レーダーの開発中にチョコレートが溶けてしまった事から生まれた電子レンジなどがセレンディピティの典型です。私たちの人生でも、ちょっとしたセレンディピティは生まれます。ここでは3つの事例を紹介します。

2.女優の夢を活かして語る仕事へ

Mさんの夢は、ミュージカル女優になること。演技、歌、ダンスのレッスンに明け暮れ、オーディションを受け続けました。やっと小さな役を貰えて初舞台を楽しみにしていたある日、交通事故に遭い、下半身麻痺で車いすの生活になってしまったのです。人生が終わったとヤケクソになっていたある日、気晴らしのために、入院中の小学生の患者さんに童話の読み聞かせを始めました。女優を目指していたので語り部としても上手で、小学生も大喜びです。「たった1人でも、こんなに喜んでもらえるなんて嬉しい! 女優のレッスンは無駄じゃなかったんだ! 」と何回か続けるうちに病院内で評判になり、退院後も定期的に語り部を務めることになったのです。やがて、噂を聞きつけた近所の図書館や幼稚園からも声がかかるようになり、3年が経ちました。そしてついに、今年5月に大きな舞台に立ったのです。語り部活動をする講演者として、300人を前にスポットライトを浴びて堂々と話をする彼女は、女優さんのように輝いていました。

3.ピアニストの夢を活かして取材の仕事へ

Kさんは就職しても、どんな職業も長く続きませんでした。やっと決まった雑誌社でのテープおこしも少しも面白くなく、やめたい衝動との戦いでした。「社会性不適応者かも……」と自分を責めつつ、実家から送られてきた母親からの手紙を読むうちに、小学生の頃の夢を思い出しました。それはピアニストになること。「あの頃は鍵盤を弾く練習を毎日やっていたなぁ」。今の仕事は録音された音声をパソコンに打ち込むこと。慣れないブラインドタッチができなくて、凄く辛い日々でした。その時に彼女はハッと気づきました。「パソコンのブラインドタッチだってピアノの練習と同じかも」。それから必死に練習をして、テープおこしが短時間でできるようになると仕事が楽しくて仕方なくなりました。取材先ではインタビュー内容もどんどん打ち込めるようになり、インタビュアーのサポートや追加の質問も適切な、素晴らしい取材者に成長していきました。それが昨年末の取材の際、私がKさんと初めて会った時の、活き活きとした姿だったのです。

4.ソニー在職時代の夢を活かして世界へ

私自身の最近の挑戦です。ソニー在職時代の2001年12月、社内のパネルディスカッションでの内容は「ハードウェア、ソフトウェアに続く第3のウェアは、感性に根差した“フィールウェア”」でした。しかしその後、何も起こらず……。時は過ぎ2013年、日本感性工学会主催の“かわいい”感性デザイン賞で入賞した新潟県燕三条の中小企業3社と共に、弊社がフィールウェア・プロジェクトを発足。日本独特の“かわいい”という感性とモノづくりの匠の技を融合して、2015年7月にロンドンで開催された「ハイパージャパン」に出展。10年以上の時を超え、場所を移し、形も変えて「感性モノづくり・フィールウェア」を世界に発信※しました。
自分のスキルや想いを、ちょっと切り口を変えてトライして、諦めかけていたあなたの夢を実現してみませんか?
https://www.youtube.com/watch?v=eYnvlXj8eL8
「8月7日(金)第109回MMS『元ソニーの女性エジソンが手がける、フィールウェアプロジェクト』」

shimokawa下川 眞季(しもかわ まさき)

株式会社ダヴィンチ・ブレインズ代表取締役・技術士(経営工学)
慶応大学大学院修了後、1982年にソニーに入社。デジカメの電子シャッター特許で全国発明表彰受賞。社内で最高位の特級特許表彰も2度受賞。技術をお金に変える方法や、アイディア発想法を伝授すべく、全国の商工会議所などで講演活動を行っている。

ウェブサイト:shimokawa-kikue.com

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXビジネスTOP〈第8回〉 個人のスキルをお金に変える②~セレンディピティで夢を...