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嶋津良智の「リーダーにつける薬」

2012年7月2日

部下は育てたように育つ

先月、シンガポール日本商工会議所(JCCI)様主催で、業績向上のための部下育成プログラム『上司学』セミナーをさせていただいたのですが、このコラムをほとんどの方が読んでくださっていて、とてもうれしかったです(笑)。引き続きよろしくお願いいたします。

 
さて、今月は先月お伝えしたように、 スポーツジム通いにより得られた学びの2つ目をご紹介させていただきます。

 
その2つ目とは、もの凄く暗い音楽をi-Podで聴きながら、 更には目の前にあるテレビ画面で、もの凄く暗い番組を見ながら ランニングマシーンをしていところ、いつも何の問題もなくこなしていた運動が、やたら辛くなってしまったことがありました。

 
もし皆さんの中でもスポーツジムに通われている方がいらしたら、ぜひ試していただきたいのですが、例えばランニングマシーンを30分で設定し、15分位経ったところで、「まだ15分もある、いやだな」 と思ってください。また、その後「もう後15分で終わる、残り少しだから頑張ろう」と思い直してみてください。

 
これをやっていただくと、今ある出来事をどう考えたかという、その「考え方」が自分の筋肉にどう影響を及ぼしているかを、感じ取っていただけます。

 
要するに、ポジティブに物事考えたときに人の行動に及ぼす影響と、ネガティブに考えたときに人の行動に及ぼす影響の違いを感じとって欲しいのです。
人はよく「ポジティブに考えろ」といいますが、ポジティブに考えることが、いかに大切かを実感値で分かる、最高の身近な出来事と思いご紹介させていただきました。
皆さんも「感情は行動に比例する」または「行動は感情に比例する」といった類の言葉をお聞きになられたことがあると思います。

 
先月お伝えした「あえて高い負荷を掛けることにより鍛えられる」という話もそうですが、今ある厳しい状況をどう考えたかというその人の「考え方」が、その負荷を乗り切るための行動に影響を及ぼします。ポジティブに考え、その負荷を乗り切るための方法を考えたりすることにより、思いもかけなかった能力が発見できたりすることがあるわけです。

 
自著『だから、部下がついてこない!』 の中でも述べていますが、人の人生や仕事の成果は「良い思い込み」「良い言葉」「良い学び」によって形成されます。それを、部下にインストールしてあげる一番の身近な存在は、会社の上司なのです。どんなことを上司にインストールされたかによって、部下の感情や行動が影響されるのです。つまりは、部下の仕事や人生の成果に影響を及ぼすのです。

 
「子供は育てたように育つ」というのが私の母の口癖ですが、「部下は育てたように育つ」。これが、私の口癖です(笑)。

文=嶋津良智(しまづよしのり)


株式会社リーダーズアカデミー
代表、シンガポール在住。
2度の株式上場体験を活かし、日本・シンガポールを始め、アジアを中心に経営コンサルとして活動。世界9ヵ国12都市でチャリティーセミナー実施。
最強の部下を育成し、最強の組織を作る、業績向上のための独自プログラム『上司学』が好評を博す。著書7冊執筆、韓国・台湾でも翻訳されている。

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.215(2012年07月02日発行)」に掲載されたものです。

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