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2013年5月20日

プロポーザルと文書の文化

新規事業を計画し実施しようと思えば、単独事業とする以外は合弁の相手先を探し、相手の合意を得て共同にて事業を進める事になります。役所の申請・許可が必要な場合は役所へのアプローチが必要です。日本の場合、合弁の相手先探しは、直接面会を求め、主に口頭での事業計画の説明をし、基本的に本合弁を前向きに検討するとの確約を得た後に、担当者ベースでの詳細な打ち合わせが開始されます。ただし相手先にコンタクトするにあたって、相手先をある程度個人的にも知っている事が条件となります。知らない場合は知っている方を通しての紹介を経て、相手方の知己を得てからのアプローチとなります。

 

 

役所への申請・許可が必要な場合は役所の窓口に出向き、担当者に概要を説明し、その後も何度か追加説明に行くことになります。

 

 

当地においては、合弁事業の相手方候補へのアプローチは、既にその相手を知っている、知らないにあまりかかわらず、プロポーザルを作成・送付することでほぼ始まります。プロポーザルとは当該事業計画の内容を記した事業計画書。事業の目的、内容、組織、調達/販売、資金計画など、全体計画が記載されており、事業の概要がこれで分かります。日系企業が新規事業を社内的に立ち上げる際に作成する稟議書と同じ内容(但し数字を伏せたもの)であり、新規事業の概要が記載されています。

 

 

プロポーザルを受け取った相手方はその内容をビジネスライクに精査・検討して結論を出し、興味があればさらに交渉を進めますし、興味がなければその段階で断ります。相手方のビジネス・スタイル(人となりも含めて)も大事でしょうが、日本ほどには比重が大きくないようです。ひとつには合弁事業が開始された場合でも、日常の事業経営には当人達はあまりタッチしないからでしょう。日常の経営実務はその道の専門家を採用し執り行われます。また、途中の交渉も対面の打ち合わせよりはeメールで行われるのが通常です。文書による打ち合わせの方が口頭による打ち合わせより論旨の主旨もはっきりし、論理構成も落ち着いて考えながらできます。記録も残りますので、後のち問題が発生しても問題点を辿る事が容易です。関係者が複数いる場合でもカーボンコピー(cc)機能を活用しeメールでの打ち合わせ・会議となります。

 

 

役所の申請・許可の際もプロポーザル形式での申請が多くなっています。事業目的・内容と必要となる許可の種類とその理由を記載し、それによりもたらされる社会的な利益を付記して申請します。役所からの問い合わせもeメールで行われ、すべてeメールで処理されます。

 

 

プロポーザルでの新規事業の提案またプロポーザルによる役所への申請・許可は、面談による打ち合わせより合理的なコミュニケーション手段であり、今後ますますの増加が予想されます。日系企業もプロポーザル形式への対応とeメールによる交渉に今後習熟せねばなりません。

 

 

今月のスナップショット

この数年日本からインドネシアへの投資が伸びているのは、同国の経済が自信を持って安定成長しているから。この写真の主はまさにその自信を体現しています。(写真:丸茂 修)

文=ケルビンチア・パートナーシップ法律事務所・丸茂 修

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.234(2013年05月20日発行)」に掲載されたものです。

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