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ビジネス4賢者が送る、成功への道しるべ

2015年1月1日

技術をお金に変える法〈第4回〉異分野挑戦の法則②~異分野の成長市場を見つける~

1.ウェブマーケティングの活用

異業種の市場は、自分たちにとっては未知の分野なので、リスクも高いと考えられます。とくに、B2B(Business To Business)の業務用途の市場から、一般消費財市場などB2C(Business To Consumer)に変更する場合は、市場ライフサイクルの成長市場を見極めることが重要です。近年ではウェブマーケティング手法を活用し、キーワード検索から得られる検索数や広告の入札数、入札単価などの値が時系列でどのように推移しているかで、市場の成熟度合いを推測する方法があります。特に広告数は競合相手の数を示していることになるため、調査しておくことは重要です。市場のライフサイクルは、導入期・成長期・成熟期・衰退期で表されますが、新市場に参入する場合、成長前期を狙うのがポイントです。大まかな目安として、キーワードの検索数が数千〜数十万、広告の数で見ると10社程度が出している場合、成長前期に相当します。

 

2.市場探索のプロセス

下の図は、成長市場を見つけ、商品を企画するまでに必要な市場探索のプロセスです。

 

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前節で説明したキーワード検索などで参入する成長市場を見つけたら、市場という実験場でPDCA(Plan Do Check Action)を回すのが肝要です。試作品を現場に持ち込み、お客様に使っていただき、顧客の隠れたニーズをフィードバックして修正します。最初に小規模で実験し、使用者に質問し、使われ方を観察します。ニッチ(隙間)市場とは市場規模が狭いという意味ではありません。真のニーズがありながら実現されていない潜在的な市場を指すのです。
異分野こそ、真のニッチ市場の宝庫です。小規模に実験してリスクを小さくすることで、異なる分野へも積極的に参入していくことが、現代日本の「ものづくり」に求められているのです。

 

3.技術資産の棚卸と技術の見える化

左の図の中に書かれている仮説「(市場)×(技術の強み)」を立てる際に必要な、製造業の競争力を次のような式で表してみました。

 

競争力=(市場の成長力)×(際立った技術資産)

 

自社の際立った技術の強みを明確化するには、事業ドメインから離れて技術資産を抽象化してみることが有効です。例えばデジタルカメラの場合、オートフォーカス、手振れ補正技術、顔認識技術など、製品に使われている技術を抽出し、これらを体系化してみます。技術資産を棚卸することで、その強みを際立たせて明確にし、異分野転用の可能性に合わせて再編集するのです。
自社事業の主要製品が、組込み部品であっても「技術を見える化」することで、企業のブランディング形成に貢献し、企業価値を高める役割を果たしてくれます。次回は、B2B技術をB2Cに転用して成功したクライアントの具体的事例を紹介していきます。

 

新年あけましておめでとうございます!至福に満ちた素晴らしい1年でありますように、読者の皆様のご多幸をお祈り致します。

 

shimokawa下川 眞季(しもかわ まさき)

株式会社ダヴィンチ・ブレインズ代表取締役・技術士(経営工学)
慶応大学大学院修了後、1982年にソニーに入社。デジカメの電子シャッター特許で全国発明表彰受賞。社内で最高位の特級特許表彰も2度受賞。技術をお金に変える方法や、アイディア発想法を伝授すべく、全国の商工会議所などで講演活動を行っている。

ウェブサイト:shimokawa-kikue.com

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.272(2015年01月01日発行)」に掲載されたものです。

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