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ビジネス4賢者が送る、成功への道しるべ

2015年6月15日

プレゼンテーション編〈第6回〉ITツールを駆使してプレゼン上達を図ろう

私はこれまで研修講師、コンサルタントとして4万人以上の方のプレゼンテーションを指導してきました。その中で、短期間で飛躍的にプレゼンスキルを伸ばす人がいる一方で、残念ながらそこまで劇的に上達していかない人がいるのも事実です。一体その違いはどこにあるのでしょうか?
それはズバリ「自分を客観視できているかどうか?」です。上達が遅い人は主観的に自分のプレゼンを捉えすぎています。「あー、今回のプレゼンはちょっと不調だったな。よし、次のプレゼンこそは頑張るぞ」で終わっています。一方、上達する人は以下のように客観的に自分のプレゼンを見ることができます。
「自分のプレゼンにおける強みは、滑舌がよく、表情が豊かなこと。改善すべき点は、本論に入る前の背景説明が長すぎることと、少し下を向きながら話してしまうことだな」と。このように分析して自分のプレゼンを捉えると、具体的な改善行動を取ることができ、着実にスキルを向上させていけるのです。
しかし、人間は感情の動物なのでそう簡単に自分を客観視することはできません。どうすればいいのでしょうか?
そういう時こそ、ITツールを駆使するのです。といっても、パワーポイントのアニメーションやPreziのようなプレゼンソフトのことではありません。あなたのプレゼン上達に一番重要な役割を果たしてくれるツールは、ビデオ撮影機材なのです。必要なのは、スマートフォンかタブレット、それから小さな三脚で十分。これならすぐ揃えられますよね?
その上で話す機会を見つけ、許可を取った上でどんどん自分のプレゼンを撮影しちゃいましょう。それをプレイバックし、レビューします。中には「自分の話している姿を見るのは苦痛で……」という人も少なくないでしょう。かくいう私もいまだにそうです。だからこそ秘訣があるのです。ポイントは、「あたかも他人のプレゼンを見るように、自分を分析すること」。以下がより具体的なやり方です。

 

1.ペンと紙を用意する
2.ビデオをプレイバックしながら、「いい点」と「改善すべき点」をそれぞれ5点ずつ書き出す
3.上記「改善点」の中で特に注力したい点を1つ決める
4.次回、人前で話す際にはその「1点」だけを意識して、プレゼンする

 

このようなプロセスに沿ってシステマチックに行うのがキーなのです。そうすることで、心理的な障害を取り除き、継続させることが可能になっていきます。

 

応用編として、ITツールを用いたさらに効果的な方法をご紹介します。それは、撮影した動画を他人に見てもらうこと。もちろんプレゼン内容の情報管理をしっかりと行った上で、動画を他人に送ってフィードバックをしてもらうのです。自分の眼と他者の眼という複眼によって、深くかつ広い観点から気づきを得ることができ、とても有効です。もちろん勇気の要ることですが、間違いなくそれを十分に上回るリターンがあります。
私も思い切って、先日行った英語スピーチをYouTubeに上げました。思った以上にたくさんの人が、それを見てコメントをくれました。多くの気づいた点や学ぶことがあっただけでなく、とても励みになりました。もしよかったら見てみてください(YouTubeサイトで「Rocky Nishino」と検索)。

 

ぜひ文明の利器を最大限に活用して、プレゼンテーションの上達を図りましょう。

 

nishino西野 浩輝(にしの ひろき)

マーキュリッチ株式会社代表取締役・チーフ講師。
プレゼンテーション(日本語・英語)や交渉術、リーダーシップなどのコミュニケーションが専門領域で、年間150日以上の研修を行う。著書は12冊。グローバル人材育成にも注力しており、シンガポールで定期的に研修を行っている。

ウェブサイト:www.mercurich.com

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.282(2015年06月15日発行)」に掲載されたものです。

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