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インドの今を知る

2010年6月21日

日印双方から、日系企業に対するサービスを強化・他

日印双方から、日系企業に対するサービスを強化

レスポンス(http://response.jp)の2010年5月19日付記事「監査法人のトーマツ、インド進出企業をサポート」は、急速な経済発展を遂げるインドで、多くの日系自動車メーカーや自動車部品メーカーがインド進出を検討しており、法制や会計基準が日本とは異なるインドで、有限責任監査法人トーマツが進出企業の支援を本格的に行っていくというものです。

開発・国際本部内の日系企業サービスグループ(JSG)の下にインド室を設置し、5名の陣容で(うち2名はインドのムンバイ、バンガロールでの駐在経験を有する)サービスを開始します。

インド室は、デロイト・インドに設置されたインドJSGと連携して、日印双方の協業体制により日系企業のインドビジネスをサポートします。インドJSGは、デロイト・インドの4,200名のプロフェッショナルと協力して日系企業にサービスを提供しています。また、トーマツグループでも、インド室をサポートするインドチームを同時に組成しました。

インドチームの約10名のメンバーは、今後のクライアントニーズに迅速に対応できるよう、トーマツグループの会計・監査、IPO、M&A、コンサルティング、税務などの各種サービスの専門家により構成されています。

主なサービスは、・会社設立サポート、・インド会計基準及び国際会計基準による財務諸表の会計監査、・税務戦略の立案から各種税制対応、・労務規程や給与体系など人事コンサルティング、・ITコンサルティング、・インド進出を目的とした財務調査や企業買収の助言、・インドに進出を検討している日本企業に対する市場参入に関するアドバイザリー業務、・インド企業の日本市場進出に係る支援業務及びセミナー等を通じた情報発信など、です。今後、顧客ニーズをくみ取り、サービスを拡大していきます。

インドに進出する日本企業は近年急増していますが、日本国内でのインド進出及びインドビジネスのタイムリーな情報は必ずしも十分ではありません。トーマツのインド室とデロイト・インドのJSGのネットワークを通じて日印双方から日系企業に対するサービスを強化していきます。

インドの知的財産権の保護の状況、中国よりはまし

ブルームバーグの記事(2010年5月25日付)「マイクロソフトCEO:中国よりインドに関心-海賊版規制の遅れで」は、ソフトウェア最大手米マイクロソフトのスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)が、中国の海賊版ソフト規制に進展がないとして、同国市場についてインドやインドネシアほど楽観的に見ていない、というものです。

バルマーCEOは、「インドは完ぺきではないが、知的所有権の保護については、中国よりもずっとましだ」とし、「我々にとって中国の市場価値は、インドやインドネシアより劣る」と述べました。

中国は、年内にも米国を抜いて世界最大のパソコン市場になろうとしています。しかし、知的財産権の保護が進まないため、マイクロソフトの売上はインドや韓国よりも少ないものとなっています。中国のGDPは、インドと韓国の合計の2倍以上もあるのに、です。

米業界団体のビジネス・ソフトウェア・アライアンス(BSA)と米調査会社IDCによると、中国でのソフトウェアの不正コピーによる損失額は、2005年から09年までの間にほぼ倍増して75億8,000万ドルに達し、世界で最も高い伸びを示しました。中国国内のソフトウェアに占める海賊版の割合は、09年に79%に低下しましたが、それでもインドやフィリンピン、タイよりも大きな割合です。

中国で使用されているマイクロソフトの事務用ソフト「オフィス」の最大95%、基本ソフト「ウィンドウズ」の80%が海賊版だとの試算もあります。こうした状況で、マイクロソフトの日本と豪州を除くアジア地域の売り上げは、全体のわずか3%にとどまっています。

バルマー氏の懸念は、米企業間に広がる中国市場への失望を代表するものです。

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土肥克彦(有限会社アイジェイシー

福岡県出身。九州大学工学部卒業後、川崎製鉄入社。東京本社勤務時代にインドでのソフト開発に携わる。2004年に有限会社アイジェイシーを設立し、インド関連ビジネス・サポートやコンサルティング・サービス等で日印間のビジネスの架け橋として活躍している。また、メールマガジン「インドの今を知る!一歩先読むビジネスのヒント!」を発行、インドに興味のある企業や個人を対象に日々インド情報を発信中。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.169(2010年06月21日発行)」に掲載されたものです。

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