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2011年2月14日

日立などIT大手、インドでの受託開発要員の拡充を推進・他

日立などIT大手、インドでの受託開発要員の拡充を推進

2011年1月17日付のマイコミジャーナル「日立が研究開発体制を刷新、国内は3研究所に再編しインドに新拠点」は、日立製作所が、4月1日付で四半世紀ぶりに研究開発体制を刷新すると発表したことについての記事。

国内研究所は、基礎から応用までシームレスな研究を担う中央研究所、社会インフラを中心とした社会イノベーション事業を支える日立研究所、情報基盤技術とモノづくり技術の研究開発を行う横浜研究所の3研究所に再編されます。人員配分は、中央研究所が約900人、日立研究所が約1,200人、横浜研究所が約1,100名となります。

加えて、研究開発本部内に日立グループ全体の技術戦略を統括し、事業戦略と連動した中長期の技術開発計画を策定する技術戦略室を新設。海外研究拠点は、12年度中に海外の研究開発人員を現在の約150人から倍増させます。これにより、中国・欧州・米州・アジアの海外4極を中心としたグローバル研究開発体制の構築を加速します。インドでは11年に、アプリケーション・ソフトウェアなどIT関連の研究開発拠点を開設します。また、インド工科大学(IIT)をはじめとする現地研究機関との連携を進めていきます。

日立は1月4日には、米ITサービス会社のシエラ・アトランティック社(カリフォルニア州)を買収しています。シエラ社はソフトウエアや情報システムの受託開発などに強みを持ち、インドを中心に約2400人の従業員を抱えています。シエラ社のソフトやシステムの受託開発要員は全従業員の約8割を占め、その大半がインドにいます。インドでソフトやシステムを受託開発した場合、欧米の半額以下で済むとされます。日立は、シエラ社を欧米企業にシステムを導入した後の運用サポート拠点としても活用する計画です。

日立は現在、グループ外も含めて約600人のソフトやシステムの受託開発要員をインドで活用しています。シエラ社の買収で、インドでの開発要員が大幅に増えることになります。NTTデータは、米キーン社の買収によりインドでの受託開発要員を約7,000人増の9,000人としたほか、富士通やNECも増やす方針です。

新興国の中では、中国、ロシアよりインド、ブラジルの成長力が高い

MSN産経ニュースの記事「購買力平価でみたGDP 日本、インドに抜かれて世界4位に」(2011年1月8日付)は、国際コンサルタント会社PwCの報告書についてのもの。同報告書は2009~50年にわたり、購買力平価でみた20ヵ国・地域(G20)とスペイン、ナイジェリア、ベトナムの各GDPを予測し、比較しています。

同じ商品を日本で100円、米国で1ドルとしたとき、100円と1ドルの価値は等しいとするのが購買力平価の考え方です。

為替相場は投機や通貨政策にも左右され、長期的には通貨の実力を正確に反映していません。このため、物価水準を考慮して実際の通貨の実力で換算した購買力平価のGDPは、より実体に近い経済力を表す指標ととらえられています。それによると今年、インドの購買力平価でみたGDPは4兆4,129億ドルに達し、日本の4兆3,223億ドルを抜いて3位に浮上しました。

17年には新興7ヵ国(中国、インド、ブラジル、ロシア、インドネシア、メキシコ、トルコ)の購買力平価でみたGDPの総計が35兆1,692億ドルになり、G7(米国、日本、ドイツ、英国、フランス、イタリア、カナダ)の34兆8,335億ドルを上回ると予測、また、19年に中国が米国を抜いて世界一になり、インドも47年に米国を追い抜くと見られています。50年の順位は(1)中国(2)インド(3)米国(4)ブラジル(5)日本――となっています。09~50年の年平均経済成長率予測では、1位がベトナムの8.8%で、2位がインドの8.1%、ナイジェリアの7.9%、中国5.9%が続き、ドイツは1.3%、日本は最下位の1%でした。

PwCは、「18世紀後半から19世紀にかけての産業革命で西欧列強が力をつけたが、時代は逆戻りして、中国とインドが台頭してきた」と指摘しています。さらに同報告書によると、新興国の中でも生産年齢人口が劇的に減るとみられる中国、ロシアに対し、若年層が多いインド、インドネシア、ブラジル、トルコ、メキシコは高い成長力を維持すると指摘しています。

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土肥克彦(有限会社アイジェイシー

福岡県出身。九州大学工学部卒業後、川崎製鉄入社。東京本社勤務時代にインドでのソフト開発に携わる。2004年に有限会社アイジェイシーを設立し、インド関連ビジネス・サポートやコンサルティング・サービス等で日印間のビジネスの架け橋として活躍している。また、メールマガジン「インドの今を知る!一歩先読むビジネスのヒント!」を発行、インドに興味のある企業や個人を対象に日々インド情報を発信中。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.183(2011年02月14日発行)」に掲載されたものです。

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