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インドの今を知る

2011年10月17日

電力問題では、太陽光発電に期待・他

電力問題では、太陽光発電に期待

「インドが狙う太陽光発電、ゼロからコスト重視で立ち上げる」(@IT 2011年9月12日付)は、インドの再生可能エネルギーについての報告。インドのエネルギー状況は中国と似ており、総量が不足している上に急速な需要増にも苦しんでいます。さらに多数の無電化地域が残っているため、水力、風力の増設に加えて、インド政府は2022年までに20GWという太陽光発電導入を計画しているとのことです。インドにはエネルギー問題があり、デリー首都圏では1日に数回の停電が起こることもあります。

インドの1次エネルギー消費に占める固体燃料の比率は68%で、液体燃料が23%となっています。固体燃料68%の大半を石炭が占め、石炭の埋蔵量、産出量とも世界第3位であるにもかかわらず石炭輸入国でもあり、輸入量は世界第4位です。またインドは産油国で自給率が2割弱ですが、原油輸入量では世界第4位です。
2009年10月、インド首相を中心とする委員会は、2010年までに再生可能エネルギーの比率を5%に高め、その後10年間、毎年1ポイントずつ比率を上げていくという目標を打ち出しました。再生可能エネルギーに対するインドの投資額は2010年で世界第10位ですが、世界第1位の中国の1割弱程度の規模にとどまっています。インドの再生可能エネルギーの規模は、水力が大きく風力が続きますが、今後は風力と太陽エネルギーの比率が高まる見込みです。

インドの電力の課題は、総発電量が不足していることと、系統が十分に発達していないことの2つです。系統が十分に発達していないため、多数の無電化地区が残っており、都市部の世帯電化率は9割に対し、地方部(村落)は4割にとどまっています。そもそも送配電網が存在していない地域を電化しようとすると、電力供給量が1世帯当たり1kWhという小さい値であっても莫大な投資が必要になります。そこで役立つのが太陽光発電です。

インド政府は、2009年10月、中央電力規制委員会(CERC)が再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を発表しました。こうした政策を受けて、インドで太陽光発電システムの導入が増え始めています。

ブランドの確立がやはり大事

NNA ASIAの記事「流通策詰めた販売参入が有効:電通総研、高度成長期の手法を」(2011年9月6日付)は、デリーとムンバイで中小個人商店などを対象に実施した調査結果について。日系企業が流通市場の近代化を待つのではなく流通施策を詰めて参入を目指すことが有効だと分析、日本のような成熟した「微に入り細に入り」を心掛ける市場の攻め方ではなく、昭和40年前後に経験した高度成長期の手法の活用を促しています。

これまで日系企業のインド進出は、インフラや自動車、家電などを中心でした。しかし電通総研は、今後は中間層の急速な成長を背景に、日用消費財(FMCG)市場への進出が本格化すると予想しています。それで、インドの小売り売上高の95%を占める中小個人商店と一般消費者を対象に調査を実施しました。電通総研の担当者は、流通部門が成熟過渡期にあるインド市場で優位に立つためには、マーケティングのコストを掛けることが有効として、独自のブランドを独自の手法で打ち立てる必要性を指摘、ブランドを確立した地場企業と提携してライセンスを供与する方法なども提示しています。

調査結果では、中小個人商店の品ぞろえは、「顧客が確実に買ってくれるものを置く」保守的傾向があることが分かりました。売れ筋商品の特徴は、食品・飲料で「良く知られている」が56.9%、トイレタリーで「信頼できるブランド」が57.5%、家電で「機能が優れている」が60.0%となり、それぞれ首位でした。商店が新製品を導入する判断基準は、食品・飲料・トイレタリーのFMGC、家電ともに順位は同じで、「マージンの高さ」、「顧客からの要望」、「消費者が話題にしている」、「自分の経験から売れると感じる」、「仕入れ代金の支払い条件が良い」の順番でした。

一方、消費者が重視するのは、「機能」と「信頼性」と調査結果は分析しています。即席麺の購入理由首位は、「調理しやすい」が67.3%、清涼飲料水は「好みの味」が68.3%、洗剤は「水に良く溶ける」が70.9%、薄型テレビは「画像がきれい」が38.9%となっています。

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土肥克彦(有限会社アイジェイシー

福岡県出身。九州大学工学部卒業後、川崎製鉄入社。東京本社勤務時代にインドでのソフト開発に携わる。2004年に有限会社アイジェイシーを設立し、インド関連ビジネス・サポートやコンサルティング・サービス等で日印間のビジネスの架け橋として活躍している。また、メールマガジン「インドの今を知る!一歩先読むビジネスのヒント!」を発行、インドに興味のある企業や個人を対象に日々インド情報を発信中。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.199(2011年10月17日発行)」に掲載されたものです。

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