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2012年3月19日

インド市場で、企業間競争が激化中・他

インド市場で、企業間競争が激化中

SankeiBizの記事「日系建機、印で生産体制拡大 コマツなど 大規模インフラ計画が後押し」(2012年2月7日付)によると、インド市場で日本の建設機械大手各社が生産体制を相次いで拡大しています。首都ニューデリーや西部ムンバイといった大都市で商業施設などの開発が進むほか、インド政府が打ち出した大規模インフラ整備計画も各社の動きを後押ししています。

コベルコクレーンの藍田勲社長は、アンドラプラデシュ州で2月2日に行われた新工場の完工式で、インドでの事業強化に意欲を示しました。生産するのは、現地で計画が進む発電施設建設などで必須とされる、走行用ベルトを搭載した移動可能な「クローラクレーン」です。インドでの需要は2011年に日本を上回り、今後も需要拡大が見込まれることから、現地生産に踏み切ることで競争力とシェアのアップを狙います。隣接地には油圧ショベルの製造工場も稼働させています。

日立建機は、地場のタタ・グループとの合弁でインドに3工場を保有しています。シェア首位の油圧ショベルでは、2011年度も2割近い市場の伸びを見込んでいます。同社では、インドは「確実に伸びる市場」とみて、2010年に合弁会社の出資比率を過半数に高めており、鉱山などで使われる超大型ダンプトラックの生産などで事業を拡大していく計画です。

コマツは1998年に地場企業と合弁会社を設立し、油圧ショベルを製造しています。2007年からは南部タミルナド州で大型ダンプトラックの生産を単独で始めており、高機能製品で市場開拓を狙います。

インド市場では、欧米勢も販売拡大をうかがうほか、韓国の現代グループが西部マハラシュトラ州で生産拠点建設に乗り出すなど事業拡大を図っており、企業間競争が激化しています。日本勢が優位に立つためには、燃費性能を高めたり、製品の補修などサポート体制の充実で付加価値を高めたりする必要がありそうです。

 

 

環境技術で、日本に大きなビジネスチャンスあり

モーニングスターの記事「インドの大気汚染は世界最悪、日本にビジネスチャンス」(2012年2月8日付)によると、米国イェール大などがまとめた「環境パフォーマンス指数2012(EPI)」で世界最悪の大気汚染地域はインドだとしています。同指数はイェール大環境大学院とコロンビア大学地球研究所が毎年作成しているもので、環境衛生、水資源、大気汚染、森林をはじめとする環境に関する10項目をランキング化したものです。

132ヵ国中、環境総合ランキングの最下位はイラク、次いでトルクメニスタンなどの旧ソ連の中央アジア諸国が下位を争っています。主要新興国は南アフリカ128位、インド125位、中国116位、ロシア106位、韓国43位と予想通り軒並み低い順位で、日本は22位、米国は49位でした。

大気汚染度だけの順位では最下位とされたのはインドで、131位のバングラデシュより10点も低い3.71点と断トツの最下位でした。総合125位、大気汚染度な最下位という結果にインドメディアは、「インド人は最も有毒な空気で呼吸している」と皮肉をこめて大きく報じました。

インドの大気汚染は石炭燃料の使用や生産設備の老朽化、自動車が急速に普及しつつあることが影響しています。インドは人口が多く国民間の格差が大きいため、環境問題は後回しにされやすいことも理由といえます。

しかし、環境問題への意識が低いわけではなく、政府の対策に取り組む意欲は高くあります。あとは技術面が課題ですが、環境技術は日本企業が得意とするところで、ここは大きなビジネスチャンスでしょう。

その他の新興国もブラジルとロシアが62位、南アフリカ78位、中国128位と大気汚染は深刻で、逆に大気汚染度の低さに関して日本は世界1位になっています。世界が認める最先端の環境技術と考えて間違いなく、この技術をうまく利用すれば日本は環境面で大きな産業を育成できるかもしれません。

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土肥克彦(有限会社アイジェイシー

福岡県出身。九州大学工学部卒業後、川崎製鉄入社。東京本社勤務時代にインドでのソフト開発に携わる。2004年に有限会社アイジェイシーを設立し、インド関連ビジネス・サポートやコンサルティング・サービス等で日印間のビジネスの架け橋として活躍している。また、メールマガジン「インドの今を知る!一歩先読むビジネスのヒント!」を発行、インドに興味のある企業や個人を対象に日々インド情報を発信中。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.208(2012年03月19日発行)」に掲載されたものです。

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