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星・見聞録

2014年4月7日

走るシンガポール

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シンガポールを歩けば、走っている人に出会う。公園、川沿いの道、ビジネス街、どんなところでもランナーを見る。時間帯も、朝、ランチタイム、夕方、夜間を問わずだ。マラソン大会の完走記念Tシャツを誇らしく着ている人も多い。
日常生活にランニングが密着している国、「ランニング熱中王国・シンガポール」について、いろいろな人に聞いてみた。

 

ランニングコーチに聞く

約10年でランニング熱が急上昇
ほぼ毎週ランニングイベント開催

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シンガポールでランニングが盛んになり始めたのは、1990年代半ばでしょうか。当時シンガポール・スポーツ・カウンシルが提唱していた「Sports for Life」は、人々に運動と健康に対する意識を高める一つのきっかけとなったと思います。「Sports for Life」は国内の各スタジアムへ行ってランニングやウォーキングを行うことを奨励し、目標を達成すれば証明書がもらえるというキャンペーンでした。

 

 

1990年から1995年ごろまでは、まだランニングイベントは現在の「スタンダードチャータード・マラソン・シンガポール」の前身「シンガポール・マラソン」を含めて年間4〜6大会ほど。2000年に年間8〜10ほどの大会が行われるほどになり、それから増え続け、今ではほぼ毎週開催され、主なものだけで年に50以上のイベントが行われるまでになりました。参加者も昔は外国人の方が多かったのですが、今は地元のランナーが多くなりました。また、ランニングをするのは主に男性でしたが、女性のランナーも年々増え、「ビーナス・ラン(X-Bionic Venus Run)」といった女性だけの大会も行われています。

 

 

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シンガポールはほかの東南アジアの国に比べると、道の側溝がカバーされ、歩道が整備されている。夜や早朝に走っても安全です。こんなふうにランニングに適した環境があることも走る人が増える理由の一つでしょう。また、世界の有名スポーツブランドがシンガポールに拠点を置いてシューズやウェアを通じてランニングのファッション性を高め、さまざまな企業が大会のスポンサーとなって盛り上げてくれていることも、ランニング人気の向上に貢献していると思います。

 

 

ランニングは身近で手軽なスポーツであると同時に、人を動かす大きなビジネスという面もあります。シンガポールの大会に参加するために、海外から多くの人がやってくる一方で、シンガポールからタイ、マレーシア、日本、韓国、豪州、さらに米国、ドイツまで遠征するランナーが増えています。私自身、今年3月の東京マラソンに参加、完走しました。スタートからゴールまで観客の声援、サポートがすばらしかった。シンガポールのマラソン大会もこうありたいと思う体験でした。シンガポールのランニングシーンをもっともっと活性化させたい、それが私の願いです。

 

 

日系スポーツ用品メーカーに聞く

本格派から気軽なランナーまで
高機能と豊富な種類で期待に応える

スクリーンショット 2015-07-01 17.58.40アシックスがシンガポールに初めて上陸したのは1981年。以降、代理店を通じて製品を販売していましたが、2012年5月にシンガポールにASICS Asia Pte .Ltd.を設立し、自社で東南アジア市場におけるマーケティングと営業を開始しました。

 

 

シンガポールは人口540万人のうちの9%、約50万人がランニングに親しんでいるといわれています(2013年/出典:RunSociety)。ランニング愛好者が多い理由として考えられるのは、公園や川沿いのコースなどランニングの環境が整っていること、1年中温暖でオフシーズンがないこと、ランニングの大会が多く距離や趣向のバリエーションが豊富なこと、ランニンググループが多く参加しやすいことなど。最近は家族や会社の仲間といっしょに走ることで絆を強化するチーム・ボンディング(Team Bonding)の手段としても、ランニングが注目されています。

 

 

このようにランニングが盛んなシンガポールで、アシックスはシリアスランナーの方を中心に高い支持をいただいています。ある年のシンガポール最大のランニングイベント「スタンダードチャータード・マラソン・シンガポール」で当社が集計したところ、アシックスシューズ着用の参加者は37%という高い数字が出ました(アシックス計測)。

 

 

アシックスシューズの特長は、さまざまな足の型、足の動きの研究に基づいてつくられ、高いレベルで衝撃吸収と安定性を実現した機能性を持つこと。例えば、女性向けシューズは女性の足型と足首の柔らかさなどを配慮して設計されています。ランニングシューズ側面のアシックスストライプのデザインにも足をしっかりホールドするという機能が備わっています。足の型、足の動き、性別、年齢に合わせて豊富なモデルを揃えており、最適のシューズを見つけることができます。

 

 

“True Sports Performance Brand”として、シリアスランナーの方々の要望に応え続けることはもちろん、今後は気軽に走りを楽しむファンランナーにも浸透を図っていきたいと考えています。そのためにも売場のスタッフがしっかり知識を持ち、お客様に正しく伝えることができるようにサービスをより充実させていきます。我々の製品、サービスを通じてシンガポールをはじめ、タイ、マレーシア、フィリピンといった近隣諸国でも、ランニング文化およびより多くのランナーに貢献できるようにしていきたいですね。ランニングイベントの開催などにも取り組んでいきたいと思っています。

 

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シンガポール津々浦々でランナーに聞く

 

スクリーンショット 2015-07-01 17.58.26Yulan Heさん

セカンダリースクール(日本の中・高)の頃に始めてから、10年以上走っています。今は朝7時から週に6日、平日は4km、週末は10km走っています。場所はチョア・チューカンスタジアムのトラック、マクリッチ・リザーバー、ピアース・リザーバーなど。階段を昇るバーティカルマラソン(Vertical Marathon)やトライアスロンの大会にも出ています。香港やマレーシアで行われる大会にも参加しています。日本でも富士山レース、横須賀シーサイドマラソンを走りました。共通の楽しみを持つ人と知り合えるのもランニングのいいところ。アドバイスをもらったり、いっしょに海外遠征に出かけたりしています。目標はフルマラソンサブ4(Sub4/4時間切り)を達成して、ボストンマラソンに挑戦です。

 

 

スクリーンショット 2015-07-01 17.58.30Kua H.P.さん

 

1981年にランニングを始めました。きっかけは米国ハーバード大学留学中、現地で多くの人がランニングを楽しんでいるのを見て、自分も走ってみようと思ったこと。以来、シンガポールに戻ってきてからも走り続け、今でも週4日、平日は晩、週末は朝に4~6キロ、マクリッチ・リザーバー・パークを走っています。昔は大会にもよく参加しました。
ランニングは心身ともに健康を保つためだけでなく、いろいろな意味で私にとってとても大事なものです。

 

 

スクリーンショット 2015-07-01 17.58.21Ghana Segaranさん

シンガポール航空勤務
Chairman, Cross-country & Road Running Singapore Athletic Association

 

約30年前にランニングを始めてから今も週に3回、ベドック・リザーバーパークなどで走っているほか、ポリテクニックでランニングのコーチもしています。土曜日の朝はマクリッチ・リザーバー・パークで「Run with Ghana」というグループを主宰して走っています。
数多くの大会に参加しましたが、1年半ほど前にタイで参加した南シナ海とインド洋間約160キロメートルをリレーで走る「Ocean to Ocean」はとても楽しかった。ランニングはそれ自体が楽しく、爽快感、達成感はお金では買えないものです。

 

スクリーンショット 2015-07-01 17.58.17Angie Kungさん(写真右)

Metropolitan YMCA Singapore 勤務

山岳トレッキングのトレーニングとして1994年からランニングを始めました。平日は勤務先に近いボタニックガーデン、週末はマクリッチ・リザーバー・パークなどを走ります。週末は妹のMary(写真左)といっしょに走ることが多いですね。自然が好きなので、緑の中を走るのが心地いいです。これまで国内のほかにバンコク、プーケット、アンコールワット、マレーシアのペナンブリッジ・マラソンなど海外の大会に参加したことがあります。
ランニングのおかげで健康を保つだけでなく、意志を強く持つための忍耐力も身についたと思いますね。

 

スクリーンショット 2015-07-01 17.58.07Alan C. K. Cheongさん

KLMロイヤルダッチエアライン勤務

 

週5日、平日は6~8km、週末は12~15km、パシリスパークやイーストコーストパークを走ります。出張に行くときも必ずシューズを持参し、走ります。これまで数多くの大会に参加してきました。これらの完走記念のメダルはほんの一部。1日で2つの大会を走ることもあります。フルマラソンはこれまで16回走りました。年3回はフルマラソンに参加し、来年は区切りの20回完走を達成したいと思っています。いつか50kmマラソンとマレーシアのペナンブリッジ・マラソンにも挑戦したい。走ることは、「REAL」すなわちRegular Exercise Active Lifestyleを実現する私のパッションです。

 

 

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Cheng Wei Leeさん

Shell Eastern Petroleum Pte Ltd 勤務

昔はバドミントンをしていましたが、やめてから健康管理とスタミナ増強のために走り始めました。10代の頃から10年以上走っています。週5日、朝5時30分から平日はポンゴルウォーターウェイ・パークとポンゴル・プロムナードを5~10km、土曜日はアッパー・ピアース・リザーバーパークを約10km走ります。東京や北海道、ニューヨークなど海外旅行に行った時も走りました。フルマラソンにはこれまでシンガポールで4回挑戦。毎回完走のゴールが見えた時は信じられない気持ちになります。
ランニングは私の生活の一部であり、いい1日のスタートに欠かせません。ランニングは私に苦しさの中で忍耐と、前進する強さを持つことを教えてくれました。

 

 

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.254(2014年04月07日発行)」に掲載されたものです。
文= AsiaX編集部
取材協力:Mr.C.Kunalan

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